第3章 青色~青峰~
「もう、どうでも……」
「良くねえんだよ!」
『どうでも良い』
そう言おうとした私の声を、青峰くんが遮った。
「頭のどっかにあるって、何だよ?『邪魔だ』って言ったあれかよ?」
「しらな……っ」
「あったぜ」
「………っ」
「あいつらにな」
「え?」
「ごちゃごちゃ群れてきやがって。邪魔な奴らだって、思ってたんだよ」
「なに…それ……」
青峰くんは、何を言ってるんだろう?
一瞬、意味が…青峰くんの言ってることがよく分からなくて。
でも青峰くんの顔は見れなくて。
そうしたら。
「だからっ。邪魔だったのは、あいつらで、お前じゃないんってことだよ!大体、お前のこと、んな風に思ったこと、一度もねえし」
それでもあの時、あんな形で言葉が飛び出してしまったのは、自分がバカなガキだったからだ、って、最後には、青峰くんはそんな風に言って…だけど。
だけど私は、どんな顔したら良いのか、何て言ったら良いのか、やっぱり全然分からなくて。
そのまま、何も言えなくて、動けなくて。
俯いたままでいたら……。
「……おい」
怒ってる…のとは、ちょっと違う。
だけど、いつもより低い声が聞こえて。
それでも、私が動けずにいると。
「何か…言えよ……っ」
焦れるみたいな、そんな声がすぐ傍で聞こえた瞬間、だった。
「△△……」
耳に直接吹き込むみたいな、近すぎる声。
すっぽり何かに包まれて動けない、なんて、事態についていけない頭がやっと追いついた時、私は…自分が青峰くんに抱き締められてることに気づいた。
「…ぇ?…えっ?」
気が付いたけど、だけど、頭では分かっても、今度は気持ちっていうか、何か、色々混乱して、ついていけない。
だって…だって、あの時のことは誤解だってことは分かったけど。
だからって、何でこんな風になってるの?
分かんない。
分かんないよ、青峰くん。