第3章 青色~青峰~
こっちはしょっちゅうお前の顔が頭ん中でチラついてしょうがねえってのに。
実際会えたら、これか?
(ふざけんなよ)
こうなる原因を最初に作ったのは俺だ。
そんなことは分かってる。
何もしねえで、ここまで来ちまったのも俺だ。
けど、だからもう全部ダメなのかよ?
今更って分かってっけど、俺には謝ることもさせてくれねえって……。
「それは、ねーだろ」
言いながら、気づいた時には、俺は無意識に△△の腕を掴んでた。
「ぇ?ゃっ、は、はなし……っ」
途端に△△がもがくのが分かったが、今離せばこいつは逃げる。
それで終わりだ。
いつも何も変わらねえ。
だから…こいつを怖がらせたくなんかねえけど、俺は腕を離さなかった。
「何もしねーよ」
「……………」
「お前が嫌がることは何もしねえから。だから…俺から逃げるな」
そう言った俺の前で立ち止った、ってより、固まっちまった△△は、それっきり、下を向いちまって。
何考えてんのか、どんな顔してんのかさえ、俺には分からなかった。
こいつは…やっぱり俺から逃げるのか。
(俺から、逃げたいのか?)
そう考えただけで、俺は堪らなくなった、その時、
「痛い」
「……ぁ?」
「腕、痛いよ。……逃げないから、離して」
「ぇ、あ、わ、わりい」
つい、力が入っちまってたらしい。
俺は慌てて手を離しながら、△△の台詞に驚いてた。
(逃げない…っつったか?今……)
「△△」
「……な、なに?」
俺に名前を呼ばれて、△△が俺を見上げてくる。
緊張してんのがバレバレだってのに、『逃げない』って言ったのを、こいつは律儀に守ろうとしてる。
テツや、他の連中に見せる笑顔には程遠い、強張った顔。
俺は、もっと違うこいつが見たいんだけどな。
まあ、これも今までの自業自得か。
昔のことをどう言ったところで、今更もとに戻るわけでもねえだろう。
けど…そうやって放っておくのは、昔のことだろ、って投げちまうのは、もうやめる。
少なくとも…△△には……。
バカなガキの不始末は、ちゃんとつけるって、決めた。