第3章 青色~青峰~
-青峰side-
IHも終わって、夏休みもあとちょっとで終わる。
その日の俺は何もする気になれなくて、適当に公園のベンチで寝そべってた。
今日も練習ってやつはあるが、俺には関係ねーし。
にしても。
「くそ、あちー」
日陰のベンチっつっても、これじゃ蒸し風呂みたいだぜ。
全然昼寝向きじゃねえ。
分かってんのに、何となくここに来ちまった。
ベンチの向こうには、バスケットゴール。
別に…今更こんな場所でバスケする気なんざ、更々ないけどな。
どうしてだが、時々ここに来ちまう。
にしたって、暑いもんは暑い。
マジで干からびそうだ。
それに、ここにいると、そろそろうるさい奴が……。
「やっぱりここにいた!もう!いっつもサボって!」
思う傍から、キンキン声(もちろんさつきの奴だ)が捲し立ててきやがった。
そうじゃなくても暑くてイライラするってのに、その上、
「もうっ、ほらー!」
こんな声聞かされたら、不愉快通り越してマジギレしそうだ。
「っせーな。俺のことはほっとけって言ってんだろうが!」
毎度毎度しつこくしてきやがって。
休みの日に俺がここに来る確率ってやつも、こいつは分析だのしてやがるんだろうが……。
これが男だったら、とっくにぶん殴ってるとこだ。
俺はその場に起き上がると、そのまま歩き出した。
もちろん、練習の為なんかじゃねえ。
無視して通り過ぎようとするのを、あくまで邪魔しようとするさつきの手を、俺は振り払った。
「うるせえよ。IHも終わったろうが」
今年のIHは、ついこの前終わった。
肘を痛めた俺は途中から欠場するハメになっちまったが、それも今じゃ何ともねえ。
赤司のいる洛山が優勝ってのは、まあ、面白くはねえけどな。
「IH前は練習ってやつもしてやっただろーが」
IHの本戦前は、さつき以外の連中もうるさくしやがったから、さすがに練習にも出た(まあ、それもたまにだけどな)。
けど、それももう終わった。
つっても、今度はWCだって騒ぐんだろうけど、まぁ……。
「俺には関係ねーよ」
捨て台詞を吐いて、俺は公園を出た。
後ろでさつきの奴が何か言ってやがるが、聞こえねーな(つか聞く気にならねえし)。