第3章 青色~青峰~
あの時、僕は結局、何もしてあげることができませんでした。
○○ちゃんが何も言わなかったから、といえばその通りですが、何となく様子がおかしいことに気づいていたはずなのに、バスケに夢中になっていた僕は、見過ごして…いえ、放置したようなものです。
もちろん○○ちゃんはそんな風には言わないし、思ってもいないんだろうと分かりますが、僕は、僕自身の不甲斐なさを知っています。
1軍に上がって、尚更バスケに夢中になって、僕は○○ちゃんを後回しにした。
あの頃の僕にそんなつもりはなかっとしても、結果的には同じことです。
幸い、バスケ部を辞めたことで、○○ちゃんへの苛めはなくなったようでしたが、もしそうでなかったら、もし、○○ちゃんがもっと思いつめてしまっていたら。
そう考えると僕は今でも、自分が嫌で堪らなくなる。
青峰くんとは違う。
僕は彼女の身近にいたのに。
気づいてあげられるだけの場所にいたのに…と。
そこまで話した僕を軽く小突いて、青峰くんは家に帰っていきました。
「あいつは、お前のこと、んな風に思ってねーだろ。多分な」
そんな風に、言い残して……。
「僕も、そうは思います。でも……」
納得できないのは、自分が許せないと今でも思ってしまうのは、どうしようもないんです。
それに、○○ちゃんがそう思うだろうって分かってる青峰くんの言葉が、何だか僕の中でもやもや渦巻くような気がしました。
何なんでしょう。
自分でも、よくは分からないですが。
でも、とても不快なのは、分かります。
「……そうじゃなくて」
はあ、と一人で溜息を吐きながら、僕は閉じた窓を眺めました。