第3章 青色~青峰~
でも。
(そうじゃない)
何の確証もありませんが、僕にはそう思えました。
そして、それを裏付けるように、今日、僕は青峰くんに呼び止められました。
○○ちゃんが家に入ったのを見届けた、あの後に……。
何もなく、そのまま別れたなら、僕もこんな風には感じなかったかもしれません。
けど、青峰くんは……。
「テツ」
「はい?」
「△△は、何でバスケやめたんだ」
「………」
それは、中学の頃に遡る話です。
それを青峰くんはずっと気にしていたと、そういうことでしょうか。
それだけでも僕は驚きましたが、青峰くんの発言は、更に僕を驚かせました。
「あいつがバスケやめたのを俺が知ったのは、かなり後になってからだった。俺なりに調べてみたが、時間が経ち過ぎちまっててよ……」
結局、はっきりしたことは分からなかった、と、後悔というよりは自分を責めるような、そんな表情が僕には見えました。
だから…なんて、○○ちゃんを心配する気持ちは、僕にもとてもよく分かったから、なんて。
そんなのは、まるで理由にならないのは分かっていますが、でも僕は青峰くんに、○○ちゃんがバスケ部を辞めたわけを、要約して…ではありますが、話してしまいました。
彼女が受けた仕打ち、かつての苛め…それを、話してしまった……。
そうはいっても、僕もそれほど詳しくは知りません。
バスケ部のことで、○○ちゃんが僕に相談というか、話をしてくれたのは、○○ちゃんがバスケ部を辞める直前のことでしたから。
それまでずっと一人で頑張って、我慢してたんだと、今なら分かります。
確かにあの頃、○○ちゃんの様子が何処かおかしいと感じたこともあったのに、僕自身、バスケに夢中になっていて、ちゃんと気が付いてあげられなかった。
その間にも、○○ちゃんはきっと、一人でもがいて、どうにかしようと頑張っていたんだろうと思います。
だけど…ダメで。
最後の、ぎりぎりのところで、○○ちゃんは僕に少しだけ、バスケ部でのことを打ち明けてくれて、それからすぐ、退部してしまいました。