第3章 青色~青峰~
-黒子side-
○○ちゃんと話すのは、いつもとても心地が良いです。
色々なことがありますから、楽しい話ばかりじゃないことももちろんありますが、それでも、○○ちゃんと話すと心が落ち着きます。
だけど今日は…話そうと思っていたことを、言えずに終わってしまいました。
言わなければと思っていたことが、一つも言えなかったなんて、初めてかもしれません。
それに、○○ちゃんの『大丈夫』も……。
本当は『大丈夫』じゃないって感じます。
だけど『大丈夫』にしようとしてる。
○○ちゃんは分かりやすいから、平気そうしてたって、分かってしまうんです。
○○ちゃんが言うには、僕の方がポーカーフェイスでずるいそうですが。
○○ちゃんはまだ、青峰くんのことを引きずっている…というと、ちょっと表現が違うかもしれませんが。
まったく関係ない人…と思ってないのは、分かります。
無関係とか、無関心を装いながら、でも本当は何処かで気にしている。
○○ちゃんは、自分で言うほど物事を割り切れるタイプじゃなりません。
まして一度はあんなに仲良くしていた相手を……。
そしてそれは…青峰くんも同じ、でした。
ただ違うのは、彼の場合、どうでも良いと思った相手には本当に相応の態度だったり、そもそもまったく興味を示しません。
そういった意味では、彼は本当にばっさりと割り切るタイプかもしれません。
なのに、その彼が、○○ちゃんに対してだけ、まるで違う。
一度離れて…しかも何年も経って。
それでも変わらず…いえ、僕の勘が正しければ、以前よりもっと強く、彼は○○ちゃんを心に留めている。
思い通りにならないと、人は余計にムキになることがある。
青峰くんが、そういうパターンの人間じゃないとは言い切れないし、ある意味ではそういう性格だとも言えると思います。
だけど…○○ちゃんに対するものは、多分、そういうのとは違う。
そんなんじゃないと、どうしても感じる僕がいます。
昔、手放してしまったのがただ惜しいだけ。
思い通りにならない相手だから、意地になっているだけ。
青峰くんの中にあるものが、それだけのものだったとしたら、むしろ分かりやすくて良かったかもしれません。