第3章 青色~青峰~
「普通はしないと思うんだけど」
「僕もそう思います。普通はしません。不審者だと思われそうですし」
「そういう問題じゃなくて、や、それも問題だけど。私が言いたいのは、危ないでしょ、ってこと!」
「心配してくれたんですか」
「当たり前でしょーが」
(でも、ついさっきまで会っててたのに、どうかしたのかな)
こんな風にわざわざ呼び出すみたいにする黒ちゃんに、私は首を傾げた。
それに、メールだってくれたばっかりなのに。
そう思ったから、
「黒ちゃん、どうかしたの?」
もしかして、あの後あいつ(青峰くん)と何かあったのかな。
だとしても、黒ちゃんはあんまり人に話すことはしないタイプだけど。
けどそういう黒ちゃんだから、余計に気になっちゃうわけで。
「どうしたの?大丈夫?」
ちょっと心配になってそう言ってみた…んだけど。
(あれ?)
今、何か軽く睨まれた気が……。
「黒ちゃん?」
「『大丈夫』とか、○○ちゃんは相変わらず素直じゃないです」
「……はい?」
何?
何、いきなり?
わけが分かんなくて。
「いきなり、なに……」
「もしかしたら本当に『大丈夫』だったのかもしれませんけど。少なくとも…僕はそうは見えなかったので……」
言いかける私の言葉を、黒ちゃんが遮る。
黒ちゃんにしては珍しいな、なんて思いながら、自分の家の窓の縁に座ったままの黒ちゃんの格好に、私は何となく、苦笑いしてしまった。
確かに『全然大丈夫』ってわけじゃなかった。
だって私は黒ちゃんと、黒ちゃんが会わせたいって言ってた火神くんに会いに行ったわけで、そこに青峰くんが現れるなんて夢にも思ってなかったんだから。
びっくりしたし、それ以上に、どう反応したら良いかわからなかった。
もう過ぎたこと。
昔のことだ。
今は全然関係ない人だ…って頭では分かってるはずなのに、何か、ぎこちなくなるというか、居心地が悪くてしょうがないような気がするというか。
けど、本当に予想外だったけど、久しぶりにバスケした時は不思議と全然平気だったし、バスケが楽しいって久々に思えた。
だからの『大丈夫』メールだったんだけどな。
私がそう答えると、黒ちゃんはちょっと、ほっとしたみたいだった。