第3章 青色~青峰~
多分どれも気にしてくれてて、でも黒ちゃんはそれをいちいち細かく書いてきたりしない。
場合によってはそういうこともあるけど、大体が、いつも黒ちゃんはこんな感じだ。
やんわり心配してくれて、気にしてくれる。
「ありがと、黒ちゃん」
IHの最終予選が目の前で、黒ちゃんも大変なはずなのに。
何日か前、久しぶりに本気で練習中に死ぬかと思った…なんてメールが来たのを思い出して、私は一人で笑った。
私は…大丈夫。
青峰くんが同じ高校だったのは予定外だったけど、関わらなければ良いんだし(今日のは想定外ってやつで)。
小中学校の頃とは違うから。
『大丈夫だよ』
一言だけ打ち込んで、黒ちゃんに返信。
いつもの私からしたら、素っ気ないくらいの短さ。
でも本当に……。
(何ともないし)
って思った途端に、
こつん!
部屋の窓をたたくような音がした。
(何だろ?)
不審に思って、私は窓に近づいた。
怖いとか気味が悪いとか、そんな気持ちは不思議と浮かばなかった。
ちなみに、私と黒ちゃんの家は背中合わせに建ってて、私の部屋の窓の向こうは黒ちゃんの家…だったりする。
けど、漫画とかドラマみたいに、窓を開けたらそこがお互いの部屋…なんてオチはない。
私の部屋(の窓)の正面は黒ちゃん家の壁で、ちょっと斜めの位置にある窓も黒ちゃんの部屋じゃない(昔はお互い遊びに行き来してたからよく覚えてる)けど…そうすると……。
「え…何だろ、さっきの?」
今更だけど、ちょっと怖くなってくる。
そうしたら、また。
ここんっ。
また音がして、私はどきどきしながら窓を開けた…ら、正面は当然だけど黒ちゃん家の壁で。
一体、何だろうと下を向くと、
「○○ちゃん、こっちですよ」
「え?あ、黒ちゃん!?」
「はい。久し振りだったので、ちょっと緊張しました」
「緊張って……」
緊張どころじゃないでしょ!って大声出しそうになるのを私は、ぐっと堪えた。
でも普通、びっくりするよ?
だって、窓開けたら、そこに男の子が腕伸ばしてきてるとか!
子供の頃は当たり前だけど、そんなことできないから小石を投げてきてたけど、今の黒ちゃんなら確かに、窓の縁に手を掛けてもう片方の手を目いっぱい伸ばせば私の窓にぎりぎり届くかも…って、実際届いてるけど、でもさ。