第3章 青色~青峰~
-○○side-
夜、ご飯を食べてから、私は自分の部屋でベッドに仰向けになりながら、ぼーっとしてた。
時々、意味もなく、昼間やったワンハンドみたいに腕を動かしてみる。
「本当に久し振りだったなあ」
中学でバスケ部をやめてから、一度もしてない。
けど、身体は覚えてたみたい。
まあ、ゴールには、入らなかったけど。
昔、いっぱい練習したもんね。
お前はまだチビだからムリだ、なんて言われても、やりたくてしょうがなくて。
そしたら…一緒に練習に付き合ってくれたんだよね…あいつが……。
『ケツもってやるつっただろ!』
一緒にバスケしたのなんて、何年振りだろう。
あんな風にフォローしてくれたのも……。
って、けど。
「ホント、口悪いよね」
子供の時から、それっぽい片鱗はあったような気もするけど、今ほどじゃなかった…って当たり前か。
あんな喋り方の小学生なんて怖すぎだよね。
「じゃなくて」
何であいつのことなんか考えてんの、って自分で自分に突っ込みながら、私はベッドから跳ね起きた…ら、そこで初めて気が付いた。
「あ、メール」
枕元に置いておいた携帯が光ってる(ちなみにこの色はメール着信の色)。
「全然気が付かなかった」
あーちゃんか、他の友達の誰かかな、って思いながら見てみると、そこにあったのは、黒ちゃんの名前で。
「黒ちゃんから?」
黒ちゃんからのメールも時々だけど今までもあったから、別にびっくりすることなんてないはずなんだけど、今日のことがあったからかな、ちょっと、どきっとした。
青峰くんとのことは、黒ちゃんは前から知ってる。
けど偶然、あんな風に今日会っちゃったりしたから、多分、黒ちゃんは気にしてくれてるんだろうな。
(黒ちゃんて、そういうとこ、すごく気が付くっていうか、昔から色々気にしてくれるし)
そんなことを考えながらメールを開いたら、やっぱり…だった。
タイトルはこんばんは、から始まって。
『電話しようか迷いましたが、メールにしました。今日は大丈夫でしたか?』
『今日は』って曖昧というか、わざとぼんやりさせてるっていうか、はっきり書いてないけど、黒ちゃんが何を気にしてるかは、大体分かる。
青峰くんのこと、私としてはすごく久し振りだったバスケのこと、それから、ワンハンドシュートのこと……。