第3章 青色~青峰~
思い出してる俺に、冴木は『思い出してくれた?』とか言いつつ、けど△△の前に立ったまんまで。
(だから離れろってんだよ)
って思っても、冴木には通じねえ(まあ、口に出してねえしな)。
「キセキの世代とか、びっくりしたよ。○○ちゃんも見違えたよ、ホント、女の子って変わっちゃうもんだなあ。こんな可愛くなっちゃって」
言いながら△△の頭を撫でようとするのが分かって、俺は△△の腕を引っ張った。
「え…、ちょっ……」
驚き半分、ムッとするの半分て感じの△△を横目にして、俺は冴木の手の届かないところまで△△を引き戻しながら、更に俺自身がその間に入った。
「そっちこそ、前よりチャラくなったんじゃねーの」
気安くこいつに触ろうとしてんじゃねえよ、ってのはさすがに口にはしねえが。
冴木は何か感じ取ったみたいに、にっ、て嫌な笑い方しやがった。
「相変わらずだなぁ、大は。俺達が○○ちゃんに近づこうとすると絶対邪魔してたもんな~」
「何の話だ」
「何って、ちょっとした昔話だろ?昔、みんなでやってたコートはもうなくなっちまったけど、たまたまここ見つけてさ。たまーにこうやって身体動かしたりしてんだよ。ま、もう昔みたいには動けないけどな。『オッサン』だし」
俺に言われたのを根に持ってやがるのか、妙に『オッサン』を強調してきやがる。
『まだ二十代なのに、俺』…なんて言いだした日にゃ、
「冴木さんはオッサンじゃないですよ」
「○○ちゃん……」
「こんな人の言うこと、気にしないでください」
「優しい子だね、○○ちゃんは」
△△がそんな風に言うのを良いことに、冴木は懲りずに△△に手を伸ばした。
だから…気安く触るんじゃねーよ。
「どさくさに紛れて触んなってんだよ」
「社会人と女子高生では、犯罪になりますよ」
俺が奴の手を払う隣で、今まで静かだったテツまでがそんなことを言いだして、俺は驚くより、くっ、って笑っちまった。
なるほど、テツ的にも面白くはねえよな。