第3章 青色~青峰~
ちらって見れば、何かいつもより(って、別にいつもなんて知らないけど)不機嫌増量中、みたいな顔してるし。
何か、ヤダ。
家までこのままとか、何の罰ゲーム?
これは、あれだよね。
会話は男同士に任せて、脱出するしかない。
私は適当な曲がり角に差し掛かると、
「あ、私、ちょっとこっちに用があるから」
じゃーねー、と終わるはず…が。
「え、○○ちゃん、そっちは……」
「そっちにゃ何もねーだろが。迷子んなって終わりだ、バカ」
すぐに聞こえてきた二重奏&私の腕を掴んだのは、よりにもよって青峰くん。
私の脱出計画(?)は、違う意味で瞬殺されてしまった。
それはまあ、仕方ないとしても(本当は仕方なくないけど)。
だけどね。
「誰がバカなのよっ!」
腕をぶんぶん振り回して、私は青峰くんの手を引きはがした。
すると青峰くんは一瞬目を見開いた…ように感じた、けど。
「あぁ?バカはバカだろが」
聞こえてきたのは、いつもと変わらない意地悪な言い方だった(別に『いつも』っていうほど、この人のこと知ってるわけじゃないけどね、しつこいようだけど、一応ね)。
それなのに。
私もこんなの無視しちゃえば良いって、頭では分かってるのに。
「バカはそっちでしょ、バカー!」
ああ、つい…やっちゃった……。
私の…バカ……。