第3章 青色~青峰~
「火神くんも構って欲しかったんですか」
「誰がだ!」
「構ってちゃんてこと?」
「正解です、○○ちゃん」
「ちげーよ!」
「わーーー!」
わしゃわしゃ、って火神くんの片手が私の頭に乗っかってくる。
頭を押さえて逃げながら、でもすごく楽しい。
こんな感じ、何だか久しぶりだなあ…なんて、思ってた時、だった。
「○○ちゃん、火神くんは除け者にされて淋しいんですよ」
「え、そなの?」
「ちげーっつってんだろ!」
「飲みますか、バニラシェイク。あ、○○ちゃんのはダメですから」
「何言ってんだテメーは!」
「ぷっ、あはは」
何かもう、わけがわかんなくなてきちゃったけど、何か、良いな、こういうの。
楽しくて、ずっと笑ってたら、
「お前も、いつまで笑ってんだ。こら」
ちょっと尖った言い方をした火神くんは、だけど私の頭に乗せてきた手はあったかくって、ちゃんと加減してくれてるのが分かる。
分かるけど。
「ちょっ、ぐりぐりしないでー」
嫌じゃないけど…楽しいんだけど、ちょっと…って。
「火神くん、バーガー落ちるよ!黒ちゃんも笑ってないでよ、もー!」
怒ったみたいに言ってるくせに、私も楽しんでる。
くすぐったいみたいな心地好さ。
ずっとこのままなんて無理なのは知ってるけど、もうちょっとこのままでいたいな。
そんな風に感じる楽しさの中…だった。
突然、青峰くんが現れたのは。
途端に固まった私、いきなり現れた彼を威嚇するみたいにする火神くん。
そんな私達とは対照的に、
「こんにちは、青峰くん」
黒ちゃんは、何でもなさそうにしてる。
表情も…元々黒ちゃんは、あからさまに表情をころころ変えたりしないけど、それでも幼馴染みなせいか、多少の感情の動きは分かるつもり…だけど、今の黒ちゃんからは、それさえも見えなくて。
しかも、
「○○ちゃんとは幼馴染みなんです」
いきなりそんなことまで言っちゃうし。
や、別に知られてマズいことなんてないんだけどさ。
でも青峰くんには、そんなのどうでも良いことだろうし。
それよりなんかもう、雰囲気というか空気っていうか、とにかく悪いんだけど……。
青峰くん一人の登場に、この居心地の悪さってどうなの?って、そんな風に感じてるのは私だけなのかな。