第2章 水色~黒子~
でも。
△△さんと接するうちに気づいたのは、彼女が奥手なことと、それからちょっと意地っ張りで、強がって見せることもあるけど、本当は何処か脆くて、臆病だったりもすること……。
だから…そんな△△さんにいきなり気持ちをぶつける前に、目の前にいる僕は『男』なのだと、多少でも意識して欲しい。
図書室で彼女が真っ赤になった理由が、急に『男子』が近づいたから驚いたんじゃなく、『黒子テツヤ』という、僕のせいだったら良い。
今日はそうじゃなくても。
今度は、そうなるように。
彼女を守れるように。
もっと、頼ってもらえるように(本棚のあれは一番上まで手が届かなくて、ちょっと不本意でしたし)。
「頑張ります」
静かに…というよりほとんど無意識に、それは口を突いていました…が。
「なーにを頑張るのかなー?」
自分じゃない声に、僕は固まりました。
僕は別に、大声を出していたわけじゃありません(声を張るのは苦手です)。
なのにこの、明らかに何処かからかうような声は……。
首だけでそこを見れば、思った通り、監督兼マネージャーその人が、にっこり(僕の目には、にんまりに見えましたが)笑って立っていました。