第2章 水色~黒子~
「明日、△△さんに謝らないと」
僕は饒舌な方ではありませんし、気軽に誰にでも話しかけるタイプでもありませんが、△△さんとはこれからもいろんなことを話したいと思っています。
だからその為にも、ちゃんと謝らなければ。
図書当番を通じて、最初は互いに(というより主に△△さんが緊張してましたが)ぎこちなくながらも、段々と打ち解けていくのが、とても嬉しかった。
どんなものが好きとか嫌いとか、帰りに寄る店とか。
『僕はよくマジバに行きます。あそこのバニラシェイクが好きなので』
『私も時々行くよ。私はチョコシェイクが好き』
『甘くて大好き』と語る目がすごく幸せそうで、見ている僕も笑顔になってしまったのを、今も覚えています。
他にも美味しい店があるとか、でも実は結構方向音痴だから(これもこの時初めて知りました)あんまりあちこち一人で歩き回ると危険なんだ…と、自分で暴露して凹んでいた△△さんも面白かったです。
その他にも、よく見る雑誌や本やテレビや…そんな他愛のないことを話すのも全部、彼女との時間はとても楽しくて。
人見知りだった彼女が打ち解けてくれて、色々話すこともできるようになって、最初はそれだけで十分でした。
確かにそれだけで満足していたはずなのに。
(僕は、思っていたより欲が深いみたいです)
もっとたくさん知りたい、話したい、傍にいたい。
近くにいればいるほど、更に欲が募る自分に気づいて愕然としたのは、まだ最近のことです。
そんな自分に最初はただ驚きましたが、それだけ彼女が自分にとって『特別』なんだと気が付けば、答えは簡単でした。