第3章 青色~青峰~
だからか知らねえけど、無性にイライラして仕方がない。
俺は、ぐっ、と拳を握りながら、奴らに背を向けた。
(こんなとこにいたって意味ねえ)
気づいたら咄嗟に自分から来ちまってたが、はっきり言って、ただイラついただけだった。
今の俺が失くしたもんを、テツが持ってるって、見せつけられた、ただそれだけだったわけだ。
「邪魔したな」
強がりなのか皮肉なのか自分でも分かんねえセリフを吐いて、俺は店を出た。
あいつらの反応なんかどうでも良い。
今はとっとと、ここから離れたかった…ってのに。
「青峰くん。一緒に帰りませんか」
「あ……?」
相変わらず気配の感じないテツの声に、久しぶりに驚きながら振り返った俺の前には、テツと…△△。
火神はどうしたって聞けば、奴の帰り道は俺達とは逆らしい。
で、俺とテツと△△は同じ方向…ってわけか。
その気がなくても、まるっきり同じ道歩くんじゃ、一緒に帰るのと大差ねえ。
俺がどうこう言う前に、妙な取り合わせができちまった。
△△は、やっぱり複雑そうなツラしてやがるが。
言っとくけど、俺のせいじゃねえからな(言い出したのはテツなんだからよ)。