第2章 水色~黒子~
(△△さん、顔が真っ赤でした)
それが僕の(行動の)せいだという自覚はもちろんあります。
△△さんは、色々と分かりやすいところが多い人です。
それから、ちょっと奥手なのも、見ていて分かります(図書室で一緒に作業をしていて何となく分かってしまいました)。
だから真っ赤になってしまったのも、慌てさせてしまったのも、僕が驚かせてしまったせいだと、あの時すぐに理解しました。
途中から、わざと僕と距離を置いて作業していた理由も、何となく分かりました。
直前の言動が、明らかにいつもと違ってましたし(軽くパニックになっているのが見え見えでした)。
あんな風に混乱させるつもりはありませんでしたが、結果的にそうなってしまったことで、顔を真っ赤にしながら『ありがとう』と言ってくれた△△さんの気持ちが嬉しくて、僕まで顔が熱くなりそうでした(なので咄嗟に背中を向けてしまいましたが)。
そうはいっても奥手な彼女ですから、あれが僕じゃくても…例えば別の男子だったとしても、同じ反応だったかもしれませんが。
それでもあの場に居合わせたのが、誰でもない僕自身だったのは素直に嬉しいと思います。
でも同時に、僕の背がもっと高かったら…と感じてしまった瞬間も確かにあって。
だから△△さんの『ごめんね』と『ありがとう』を一度は受け取った僕ですが、二度目は受け取れなくて…だから廊下でのあの時、僕は△△さんが何を言おうとしているかを感じながら、ついそれを遮ってしまいました。
今にして思うと…ちょっと。
(我ながら大人気なかったです)
言葉を遮るなんて、△△さんに失礼なことをしてしまいました。
しゅるるるっ。
両手に挟んだボールを回転させて、それを止める。
何度か繰り返しながら、僕は溜息をつきました。
残って練習するつもりが、彼女のことばかり考えている自分に、何だか苦笑いしたくなります。
それに、ここで色々考えていても始まりません。