第3章 青色~青峰~
でも万が一…ってことが、もしあったら。
「絶対、許さないんだから!」
「はいはい。ありがと、○○ちゃーん」
あーちゃんはそう言って抱きついてきたけど、何か…笑ってるし。
「もう!ホントなんだからね!」
「分かってるってば」
そうやって、あーちゃんは私の頭を撫でた。
何かこう、あーちゃんにはいつも子供扱いされてるような気がする。
でも本当なんだから。
青峰くんが、あーちゃんに何かしたら…したら!
まあ、腕力じゃ敵わないけど。
それでも、ずぇったい、許さないから!
そして、それから一週間が過ぎて、また今日は選択授業がある日だ。
選択授業は、週に一度しかない。
しかも青峰くんは、前回の途中参加(私が捜しに行く羽目になった例のあの日だ)以外、それまでずーっと選択授業をサボってた人だ。
だからきっと、次もサボりなんだろうなあって思ってたんだけど……。
(いるし……)
美術室に入った途端、私は固まった…けども。
ここであからさまに固まったりしたら、青峰くんにバレバレだ。
私は止まりそうになってた足を、無理矢理動かした。
だって、何だか知らないけど、こっち見てるし!
って一瞬焦ったけど、考えてみたら、ドアが開いた音に反応しただけだね、きっと。
焦って損した。
そういえば前回、あーちゃんが、あいつに睨まれたって言ってたし、ちょっと過敏になっちゃってるのかな。
うん、きっとそうだ。
(気にしない、気にしない)
今まであれだけサボってたくせに、今日に限ってチャイム前に来てるとかびっくりしたけど、まあ、私にはどうでも良いことだし。
青峰くん捜索の為に日直が駆り出されるのがなくなるんなら、その方がみんなも楽だしね。
そう考えれば、青峰くんがいるのは驚きだけど、それはそれで、周りにとっては平和で良い。
物は考えようだ、と思いながら、私はあーちゃんと一緒に、窓際の席に向かった。
ちなみに美術の選択授業では、固定の席というものがない。
なので早い者勝ち…だったりするんだけど、最初の頃はともかく、回を重ねるごとに、自然とみんな自分の定位置みたいなのが決まってくる。