第3章 青色~青峰~
何をどうするとか、そんなこと、何も考えちゃいない。
ただ、身体が勝手に動いてた。
が、狙ったわけじゃねえが、着地した場所がちょっとマズかった。
俺は△△の顔面すれすれに飛び降りちまって(言っとくが完全に偶然だ)、近すぎるあいつに俺も一瞬固まりかけたが、△△の反応は俺以上だった。
「……ひ、ゃっ!?」
まあ、こんな状況になったら、こいつがパニクるだろうってのは考えなくても分かったけどよ。
そのまま後ろに逃げようとしたあいつがいきなり仰け反った時には、さすがに俺も本気で焦った。
「ば…っ、あぶねえ!」
「~~~~~っ!」
(そのまま倒れたら頭打つだろーが!)
何とか△△に届いた手が冷や汗に濡れて、俺らしくもなく冷たくなってるのが、自分で分かった。
このままこいつが倒れたらなんて、考えたくもねえ。
だが、まあ、至近距離にいたのが幸いだった。
俺は咄嗟に、△△の背中を支えるように腕を回して引き寄せたところで、やっと息を吐いた。
「…っに、やってんだよ、ったく」
「???」
「マジ、焦った」
「……………」
本当…マジで焦った。
こういう、ちょっと鈍くせーとこ、相変わらずだよな。
抱きしめるみたいになっちまってるのは、あれだ。
不可抗力ってやつだが……。
△△を腕の中に囲って、俺は気がついた。
(ちっせーな、こいつ)
小学校の時に比べりゃ、当たり前だがデカくはなってるけど。
それよりも俺のがデカくなっちまってる分、あの頃よりもこいつが小さく感じる。
こんなに近づいたのも久しぶりだから、今までは何となくしか分かんなかったが、他の女達と比べても、やっぱこいつはちょっと背が低い。
なんて、俺がこんなに間近で、しかも抱きしめてるってのに、当の△△の反応がねえ。
(どうかしたのか?)
転ぶのは俺が完璧阻止したし、何処もぶつけちゃいないはずだが……。
どうも、こいつは完全に固まっちまってるらしい。
(男にこんな風にされたのは初めて…ってとこか?)
そんなことを何となく考えついて、俺は自分がちょっと良い気分になってるのが分かった。
(何してんだ、俺…)
んなことでいちいち…アホか、俺は。