• テキストサイズ

What color?~黒子のバスケ~

第3章 青色~青峰~


こんな青峰くんを見たのは、私は初めてだった。
私の知ってる青峰くんは、いつも笑ってて、楽しそうで、優しかったから。

だけど、この時の青峰くんは違った。
蹲って泣き喚く男の子を見下ろして、青峰くんは怒鳴り散らした。

『あんな奴、何とも思ってねーよ!俺だって、ホントは邪魔なんだよ!』

『………っ!』

がたっ!

青峰くんの声に驚いた私は、傍にあった倉庫の壁にぶつかってしまった。

そして、驚いたように振り返った青峰くんと目が合った途端、私はそこから逃げ出した。

何処をどう走ったかなんて、今も覚えていない。
気がついたら、ぼろぼろに泣きながら家に帰っていた。

そんな私を見た母はしきりに心配してくれたけど、私は最後まで何も言わないまま。

次の日から、私は青峰くんに近づかなくなった。
そんな私に、青峰くんも何も言ってはこなくて。

それきり…私は青峰くんとは、ほとんど喋らないどころか、近づかなくなった。
それに青峰くんも、そんな私に近づいてくることはなかったし。

そのまま小学校を卒業して…中学校に入れば、尚更彼との距離は離れる一方だった。

バスケ部に入ったらしいって噂を何となく耳にした時には、ストバスしてた青峰くんをちょっとだけ思い出したりもしたけど、それだけだ。

その後のことなんか知らないし、興味も持たないようにした。

帝光中バスケ部が全中で連覇したとか、その中で青峰くんの名前が聞こえてくることもあったけど、私には関係ない。

(関係ないもん)

そう思うのに、完全に気持ちを閉じてしまえないのは、どうしてなんだろう。

全然近づいたりしてないし、喋ってもいない。

それなのに…そこにいるだけで目立つ彼は、偶然すれ違うだけで視界に入ってくる。
でも私は、その度に気づかない振りをした。
/ 278ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp