第2章 水色~黒子~
「○○、大丈夫ですか」
「私は平気だよ。びっくりしただけだし。くろ…テツくんこそ、急に動いちゃ駄目でしょ」
ちょっと目を吊り上げて言う○○に、僕は頬が緩むのを止められませんでした。
咄嗟になると、今でも僕を『黒子くん』と、呼びそうになるのも可愛いです…とか口にすると、○○はすぐに恥ずかしがりますが。
(可愛いのを可愛いと言えないのは、どうかと思います)
○○が嫌がることをする気はありませんが、これは別です。
なので。
「ありがとうございます。でも、僕も大丈夫です。大分回復しましたし」
「そうなんだ。良かった」
言いながら、○○はじりじりと僕から離れようとしてますが、バレバレです。
さっき僕が飛び起きるのを止める為に、ほとんど僕の真上にいる体勢が恥ずかしいんでしょうけど……。
「○○、何をしてるんですか?」
「え?な、何にもしてない、けど……」
「離れてます」
「え!?や、それは…だって……」
途端に真っ赤になる。
本当に……。
「可愛いです」
「だ、だから、そういうのをさらっと言わないでって……」
「思ったことを言わないなんて、良くないです」
「…ぅっ……」
言い返せずに固まってしまうところが、また可愛いんですけど。
あんまりこんな風にしていると、みんなにからかわれて○○が恥ずかしがって大変ですね…と思ったら。
(? 誰もいないような……?)
ゆっくり起き上がりながら周りを見渡すと、控室の中には僕と○○しかいないようでした。