第2章 水色~黒子~
-黒子side-
何か…声が、聞こえます。
カントクと…それから、○○……?
ぼんやり聞こえる…でも、それ以上は分からなくて。
目が開けられなくて。
そのまま、また何も聞こえなくなって……。
それからどれくらい経ったのかは、分かりません。
でも、次に聞こえてきたのは、
「テツくん。お疲れ様」
そんな○○の声でした。
すぐ傍に○○がいるのは分かるのに、まだ頭がぼんやりして、すぐには目が開けられない。
そうして意識が微睡む中で、
「ゆっくり、休んでね……」
○○の優しい声が、もう一度、聞こえました。
(○○……)
○○に会いたくて、心の中で名前を呼んだら…ふと、目の前に視界が開けて。
「わっ!?」
ちょうど僕を覗き込んでいたらしい○○と、至近距離で目が合ってしまいました。
「………っ!!」
僕も驚きましたが、もっと驚いたらしい○○は、
「あたっ!」
後ろのロッカーにぶつかって、両手で頭を押さえていました。
「○○!」
僕は咄嗟に起き上がろうとしましたが、
「急に起きちゃ駄目だよ!」
○○に押し留められてしまいました。