第2章 水色~黒子~
残された私は呆然としたけど。
控室のベンチにそーっと座れば、すぐそこには、横になって眠るテツくんがいる。
起こさないように、私は小声でテツくんをねぎらった。
「テツくん。お疲れ様」
この試合でテツくんは、手の内を全部曝け出して戦った。
そのために、この次に桐皇と当たった時には、テツくんのミスディレクションはもう通じない。
それでも承知で、テツくんは戦った。
それを聞いた時、私は泣きそうになって…だけど、必死に堪えた。
だって、実際に戦ってるテツくんの方が、ずっとずっと苦しいのに。
それなのに、私が泣いてどうするんだ、って思ったから。
これから先も、まだ試合は続いていく。
だけど…今はせめて……。
「ゆっくり、休んでね……」
テツくんが目を覚ますまで、ここにいるから……。