• テキストサイズ

What color?~黒子のバスケ~

第2章 水色~黒子~


「僕は…ずっと覚えてましたよ、○○ちゃん。僕を『テツくん』と呼んでくれたのは、○○ちゃんが初めてでしたから」

そう言って微笑む黒子くんの表情はとっても綺麗で、柔らかくて。
けど私は、まともに見れなくて。

「~~~~~~っ」

そんな私を黒子くんは、もう一度、抱きしめた。
私は恥ずかしいままで、もう、身体中が熱いくらいで。
けど……。
私も、黒子くんに、触れたくて。

どきどきを通り越して、くらくら眩暈みたいなものまで感じながら。
私は黒子くんの背中にそっと、手を伸ばした。

「…テツくん……」

彼に手を触れて…勇気を出して『テツくん』って呼んだ、その瞬間に、

「○○ちゃん」

黒子くん…テツくんも私をそう呼んでくれながら、ぎゅう、って、もっと強く抱きしめてくれた。


それから…どれくらいの間かは分からないけど、私は黒子くんの腕の中にいて。

その頃には私の腕も、いつの間にか黒子くんの背中にしがみつくみたいになりながら、そのまま二人でぼそぼそ喋ったり、一緒に笑ったりして、ふわふわするような、そんな時間を過ごしていた。

それが解けたのは、学校のチャイムが鳴って、外がすっかり暗くなっていることに気づいてから…だった。

今日は部活はなかったけど、結局部活の時と同じくらいの時間になっちゃったね、って私達はお互い照れたようにしながら笑い合った。

「一緒に帰りましょう。送ります」
「うん」

そんなやり取りは、前までと同じ。
だけど…前とは違うこともある。

今日から変わる、それは……。

隣を歩きながら、だけど今までは少しだけ開いていた友達の距離。
だけど、今は。

手を伸ばしてくれる彼の手に、自分の手を重ねてつなぐ。
すぐ隣…縮まった距離は、前とは違う。

指を絡めるようにつなぐ手に、彼の横顔を見たらちょっと赤かった…けど、私もきっと、真っ赤だから。

どきどきしっぱなしの帰り道、家のすぐ傍まで送ってくれた彼に私は言った。

「ありがとう、テツくん。また明日ね」

『黒子くん』じゃなくて『テツくん』。
そう呼んで欲しい、って、彼が言ってくれたから。

本当は、呼ぶだけでも慣れなくて、恥ずかしいけど。
テツくんの顔を見るのだって、恥ずかしかったけど。
/ 278ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp