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What color?~黒子のバスケ~

第2章 水色~黒子~


『絵の具とはわけが違うってことくらい、分かってますけど』


それに…続くように思い出したのは、体育館裏の時の、黒子くんの言葉。

(絵の具……)

黒子くんは、確かに『絵の具』って言ってた。
美由のことがあったからって、どうして気がつかなかったんだろう?

黒子くんが、『あの時』の男の子……。
ううん、それだけじゃ…ない。
それだけじゃ…なくて……。


『はい、みんな。それではこれから、お隣のお友達にニックネームをつけてみましょう!』


私は、不意に思い出す。
あれは…小学校に入ったばかりの頃の、先生の声だ。

早く友達ができるようにって、隣の席の子と二人一組になって、お互いにニックネームを付けてみようって…確か、そんな授業……。

その時の私は…私の、隣にいたのは……。


『えっと…えーっと、じゃあね…「テツくん!」』


「テツ…くん?」

幼い私が呼んだ名前……。
私はいつの間にか、それを口にしていて。

途端、今度は黒子くんが目を見開いたけど。
すぐに、嬉しそうに目を細めた。

「はい。『○○ちゃん』」


『それじゃあ…「○○ちゃん」』


それは、あの時…隣の席の子が、黒子くんが呼んでくれた私の名前。
やっぱり、そうだったんだ……。

ぼんやりとは覚えてたけど、あの時の男の子の顔も名前も、今までの私は思い出せなかった。
ただ、


『大丈夫』


あの言葉だけが、ずっと心に残ったままで。

「何で…忘れてたんだろ……?」

だけど…やっと思い出した。

そう呟いたら、止まったはずの涙がまた、零れた。

すると黒子くんが、そっと指で拭ってくれて、私はそうじゃなくても熱くなってた顔がもっと熱くなるのを感じて、首を竦めた。

だって、今頃になって、私の中でどきどきが暴れ始めて、私は…さっきまでとは違う意味で、黒子くんの顔が見れなくて。

途端、黒子くんが近づいてくるのが分かって、私は、ぎゅ、と目を閉じた…ら。

「……ぁ…」

おでこに、温かいものが触れて…すぐに離れた。
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