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What color?~黒子のバスケ~

第2章 水色~黒子~


「僕は…△△さんが、好きなんです」
「………っ」

何も言えないままの私に、黒子くんが伝えてくれた、それは二度目の告白……。
何か言わなきゃって、私は思った。

思って…だけど。

「…ぅ……っ」

声を出そうとしたら、勝手に、涙が零れてくる。

黒子くんのことを…信じてる。
黒子くんが、嘘を言うなんて思ってない。

全然思ってなんていないけど…だけど。
まるで都合の良い夢みたいに思えて。
私はそのまま壁にもたれながら、ずるずると床にへたり込んだ。

「…ぅそ…だぁ……」

ちっちゃい子供みたいに、私はその場でしゃくり上げる。

でも、そんな私の言葉さえちゃんと拾い上げて、黒子くんは私に目線を合わせてくれた。

「僕は、△△さんに嘘なんて言いません」

(知ってる。黒子くんはこんな嘘なんてつかない)

上手く言えない言葉を心の中で呟きながら、だけど実際の私は、首を横に振っていた。

「な…で、私…なん、か……」

小さい頃から引っ込み思案で、人見知りで。
虚勢を張って見せたって、本当は自分に自信がなくて。

昔の自分に比べれば色々変われたかもって思うけど、それでも私は、今も自分のことが好きになれないままだから。

だから…そんな私を誰かが…まして、黒子くんが…なんて……。

だから黒子くんのくれた言葉も、都合の良い幻みたいで…現実に、思えなくて。
後から後から、涙が溢れて止まらなかった。

今まで、人前でこんな風に泣いたことなんてなかったのに。
泣くのなんて、嫌いなのに。

小学校も中学校でも、卒業式でみんなが泣いてても、私は涙が出なかった。
私って醒めてるんだなあ、なんて、子供心に思ってた。

中学でいじめに遭った時でさえ、絶対に人前では泣かなかった。
泣くのは、独りになってから……。

それなのに、今は勝手に涙が出てくる。
どんどん溢れて、止め方が分からない。

何でだろ?
何で、こんなになっちゃってるんだろう?

「ふ…、ぇ…っ」
「△△さん……」
「だ…って、私…こんな、だし…。ぜんぜん、だめ…なの、に……」

上手く表現できない私に、だけど、何故かちゃんと聞き取れてるらしい黒子くんは、

「そんなこと、ないです」

そう言ってくれて。

その声と同時に、今度こそ、黒子くんの手が私の頬に触れた。
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