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What color?~黒子のバスケ~

第2章 水色~黒子~


「今の△△さんの言葉で、思い出しました。あの日、桃井さんが来ていたのと同じ頃、△△さんは二号のためにお菓子を差し入れに来てくれたんですよね。後からカントクに教えてもらいました」

思い出すように呟いて、黒子くんは溜息を吐いた。

「そうですね。そう…思いますよね」

もし、あの場面を見たら、確かに……。

そう言って、黒子くんがまた軽く息を吐く。
まるで、自分を責めてるみたいに……。

「すみません。…でも、違うんです。言い訳にしかならないかもしれませんし…桃井さんに抱きつかれたのも事実ですが、僕は彼女と抱き合っていません」

黒子くんは、そう話し出すと、今までの『桃井さん』という、その女の子とのことを全部話してくれた。

彼女は帝光中バスケ部時代のマネージャーだったこと。
高校は違っても、時々ああして訪ねてきていたこと。
そして…あんな風に抱きついてきたことが、今までにもあったことも、正直に話してくれた。

そんな話を聞いていて、私は思った…っていうより、すぐ分かった。
桃井さんて人に会ったことはないけど(あの時、遠目で見ただけで)、その子の気持ちなら、分かる。

桃井さんは、黒子くんのことが好きなんだ…って。
だから何度も会いに来たり、抱きついたりして、黒子くんの意識を自分に向けようとしたんじゃないのかな。

それなのに、黒子くんは……。

(気がつかなかったのかな……)

中学の頃からの、そんな桃井さんを見てきて、黒子くんは何も気づかなかった?

(そんなこと、ないと思うけど……)

黒子くんは勘も良いし、色んなことにもよく気がつく人だから、桃井さんの気持ちにも、気がつかないなんてないと思うのに。

そんな私の考えが分かったみたいに、目の前の黒子くんが苦笑して。

「桃井さんの気持ちには、気がついてました」

そう言われた途端、ああ、やっぱり、って私は思った。

だってあんな風に抱きつかれて、その上、黒子くんを堂々と『彼氏』だって口にしてたくらいだもん。
何も感じない方がおかしいよ。
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