第2章 水色~黒子~
明日もこの調子で…なんて、前向きでいこうとしてた私だったけど。
「え、休み…だったっけ?」
次の日、学校に行ってから、私は思い出した。
そうだ。今日は部活お休みなんだった。
(あー、馬鹿だー!)
綺麗さっぱり忘れてた。
あ、でも、部活はなくても、軽く自主練する人達もいるみたいだし(そういえば火神くんもしてくって言ってた)、私も便乗して、ちょっと入力やっていこうかな……。
(うん。そうしよう)
私はHRが終わると、一緒に帰る約束をしてた友達に謝って、すぐに教室を出た。
部室に行けば、いつも使ってるパソコンがあるはず。
(とにかく部室に行って……)
誰か自主練してれば、鍵も開いてるだろうし。
そう思って走りかけたら。
「△△……」
「え?」
聞き慣れない男子の声に、名前を呼ばれた。
私は反射的に振り返ったけど。
「あの……?」
誰…かな、この人。
こんな人、知らないけど…とか考えてる私に、いつの間にか、その人がすぐ目の前まで近づいてきていた。
「………っ!」
びっくりして、私は思わず彼を見上げてしまった。
(背…高い……)
何か、それだけで威圧感みたいなものを、感じてしまう。
けど私の名前を知ってるってことは……。
全然知らない人じゃない…ってこと…なのかな。
そう思って、私はちょっとびくびくしながら、相手の顔をちゃんと見てみた(変に思われないように、ちらっと…だけど)。
そしたら。
(あ、もしかして)
そういえば、覚えがある顔だって気がついた。
「……桜庭、くん?」
確か…そんな名前だった、はず……。
同じクラスの男子なのに、またうっかりするところだった。
(はー、良かった。今度は覚えてた)
他人の顔と名前を覚えるのって、どうも苦手で、前なんて、火神くんのこともクラスメイトって認識してなくて、あの時は本当に気まずかった。
(じゃなくて!)
今は名前思い出せて、ほっとしてる場合じゃなかった。