第2章 水色~黒子~
WC予選が近づくにつれて、みんなの雰囲気というか…士気っていうのかな、そういうのがどんどん上がってきてるのが分かる。
顔つきも…それに、みんなそれぞれが纏うオーラみたいなものも違ってきてて、部内で2チームに分かれてゲームした時なんて、みんな、いつにも増してすごい気迫なのが、私にも伝わってきた。
私はまだ他校との試合を見たことはないけど、練習でこんなにすごいなんて…本番ではどんななんだろう。
(みんな…すごいなあ……)
みんなの動き一つ、目つき一つ…それから、ボールに対するすごい集中力も。
「黒子!」
腕を挙げた火神くんに、黒子くんの…彼にしかできないパスが鮮やかに通る。
それは…私には本当に目にも止まらぬ速さで、気がついた時には火神くんが豪快なダンクを決めていた。
「うしっ!やったぜ黒子、ガンガン行くぞ!」
「はい」
息の合った二人がゴール下でこつん、と拳を合わせてる。
そういえば一度だけ、私もああやって、二人と拳を合わせたことあったっけ。
私に合わせてパスもくれて、みんなでちょっとだけだけど、一緒にバスケもして。
まだそれほど前ってわけじゃないのに、何だか懐かしい気持ちで、ぼんやりコートを見ていたつもり…なのに、つい、目が黒子くんを捜して…追いかけてしまいそうな自分に気がついた。
(っと、いけないいけない)
WC予選に向けて、データもちゃんと揃えなきゃいけないのに。
私は休憩を最小限にしながら(って言っても途中で二号とかカントクとかのチェックが入っちゃうんだけど)、データの入力と、それからカントクが見やすいようにデータを整理した。
(試合までは、あと……)
必要なデータ入力の時間を、試合の日から逆算して計算する。
この調子でいけばギリギリ間に合いそうだ。
帰るのは毎日ちょっと、遅くなっちゃってるけど。
みんなも同じくらいまで自主練して頑張ってるんだし。
私も、頑張らなくちゃ。
とにかく、今は色々考えすぎないように。