第2章 水色~黒子~
(そういえば…そうだ)
私としては、もう十分バスケ部に馴染めたつもり…とまではさすがに思ってないけど、引っ込み思案の昔の私に比べたら、比較にならないくらい早さで馴染めてきてるかもって思ってたし、そもそもこんなに溶け込めるなんて思ってなかった、なんてことを、本当に何となく口にしたら。
(ダメ出しされたんだった)
そうだ、それで……。
『ふっ、まだまだね』
ってカントクが言い出して。
それで、気がついたら、先輩達に『○○』って呼ばれる流れになってて(この方が親しみがあるでしょ?とか何とかカントクが言ってた気がするけど)。
しかもカントクからは、もう一つ『お願い』という名の注文がついちゃったりもして。
(できる気がしないんだけど……)
それなのに、話の途中からみんな異様に盛り上がっちゃって(特にカントクが)、で、更に気がついた時には、もうじき休み時間が終わるからって、木吉先輩が教室まで送ってくれて……。
(今に至る…んだよね……)
そういえば下の名前で呼ばれるのって、女子の友達とかなら全然普通だったけど、男子に呼ばれるのって初めてで、何か…無性に恥ずかしかった。
しかも相手は先輩だったし……。
でも嫌な感じとかは全然なかったから(やっぱりちょっと恥ずかしいというか、慣れない感じはするけど)、そのまま受け入れてたら、黒子くん達の方がびっくりした顔してたっけ。
私だって、最初はもちろんびっくりしたし、慣れなくて、ちょっとどきどきもしちゃったけど。
考えてみたら私、男子の友達って今までいなかったから、余計そういうのに慣れてないんだなあって、今更だけど、思っちゃったりもしたし。
だから下の名前で呼ばれるのは、ちょっと恥ずかしかったり照れちゃったりもするけど、その反面、何だかくすぐったくて、新鮮な気分だった。
あ、でも、男子…っていっても先輩だから、男友達っていうのとは、やっぱり違う…よね……。
そういう風に考えるなら、やっぱり同学年…ってことになるのかな。
授業中なのに、今日の私は何だかそんなことばっかり考えちゃってる。
(いけない、いけない。ぼーっとしてるの先生にバレたら大変だ)
なんて思いながら、やっぱり頭では色々考えちゃう。
同学年で…っていうなら……。
(黒子くんとか、火神くん…とか?)