第2章 水色~黒子~
体育館で言った通り、美由は美由なりに、新しく頑張っているのかもしれない。
もう元通りにはなれないけど、美由が新しく前に進もうと考えてくれたとしたら、嬉しい…と思う。
それにカントク情報(生徒会副会長もしてるから、その手の情報は色々入手しやすいらしい)によると、あの翌日、美由は生徒会室に行ったらしい。
そこで同好会設立の手続きに必要な申請方法を聞いたり、提出書類の用紙を貰ったりして、今度はかなり本気っぽかった…っていうのは、カントクの評価だ。
カントクの目から見て、もう大丈夫そう…ってことは、本当にそうなんだろうな、ってほっとしたのは本当…なんだけど。
(そうそう…そのカントクには、別のとこでびっくりしたんだった)
美由の一件からこっち、平和といえば平和…なんだけど。
思い出すと本当に驚いたというか、予想外だったのは、あの翌日、カントクと部長にお礼を言いに行った時のこと。
方向音痴のお陰で行き着くまでがこれまた大変だったとか。
でも二年生校舎じゃ見渡す限り先輩だらけで、先輩達の視線が何だかちくちく痛かったとか。
道を訊ねたくても、先輩相手になかなか話しかけられなくて、もうどうしようって思っちゃったとか。
とにかく行き着くまでが私的には、結構な大冒険だったんだけど、ほとんど途方に暮れかけてたところで木吉先輩に会えて、本当に助かった。
それに木吉先輩が、カントクのところに他の先輩達まで呼んでくれたお陰で、私はカントクと部長と、それからバスケ部の先輩達みんなにお礼を言うことができた。
で、そこでめでたしめでたし…な予定だったんだけど、ここからの展開が、何とも予想外だった。
気がついたら、先輩みんなに『○○』って、下の名前で呼ばれることになっちゃってて。
(そもそも何であんな流れになっちゃったんだっけ…?)
考えてみても、いつの間にか流れでそんなことに、としか、私にはよく分からないというか、そんな勢いだった気がする。
最初はお礼を言って、それから、普通に会話してただけだったはず…だけど。