第2章 水色~黒子~
-○○side-
『それじゃあ…「○○ちゃん」』
『えっと…えーっと、じゃあね…「テツくん!」』
『大丈夫』
『ふっ、まだまだね』
『はい?』
『△△さんにはもっと、バスケ部に溶け込んでもらわなくちゃ。あなたならできる!』
『あの…カントク?』
『ってわけで、これからは『○○』って呼ぶことにします』
『……は?』
『大丈夫です』
……………………ぱち。
「……朝?」
まだ薄暗いけど、時計を見たら、そろそろ起きる時間。
にしても…何か。
(いろんな夢を見たような……)
んー、と伸びをしながら、私はぼんやり立ち上がった…ら。
「あれ……?」
妙にたくさん夢見たなあ、ってことは覚えてるのに、どんな夢だったかを忘れてしまった。
(起きた瞬間は何となく覚えてたのに)
まあ、こういうことってよくあるし。
私は特に気にすることもなく、いつも通りに学校に向かった。
教室に入って、みんなと喋って…それから授業が始まって。
一見いつもと変わらない毎日が繰り返されるけど、全部が同じわけなんかなくて、みんなと会って、喋って、そうやって過ごす時間が今は何より楽しくて、嬉しい。
美由との一件から、もう三日。
平和…っていうより、何ていうのかな。
(なんか、すごく穏やかって感じ…かな)
美由に関しては、本当に平和というか、今までのは何だったんだ、ってくらい、何もない。
廊下で偶然すれ違っても、向こうから何か言ってくることもなくなった。