第2章 水色~黒子~
僕は席に着いて、いつものように本を開きました。
でも…文字を見ても、何も頭に入ってきません。
代わりに入ってきたのは……。
「なあ。何か最近、△△ってかわいくね?」
「あ、それ、俺も結構思ってた」
「笑ってるとことかさ、何か良いよな」
「だよなー。あー、俺、告っちゃいたいかも」
「え、△△ってフリーだったっけ?」
「だろ、多分」
クラスメイト達の、そんな雑音ばかりでした。
「……………」
石嶺さんとのことが解決してから、△△さんの中でどんな変化があったのか、何かが吹っ切れたのか、詳しいことは僕には分かりません。
でも△△さんの笑顔や雰囲気が、前にも増して明るく、柔らかな感じがするようになったのは、僕も感じていました。
そしてそんな△△さんの変化は、今まで何も感じていなかったクラスの男子の目にも、止まるようになったみたいです。
(近い内に…なんて、考えてる場合じゃないですね)
△△さんの気持ちが何処にあるのか、誰か好きな人がいるのかを、僕は知りません(見たところ特定の相手は今のところいないようですが)。
僕が△△さんに告白することで、今までの関係も、もしかしたら失くしてしまうかもしれない。
だけど、それを恐れていたら、何も変えられないし、進めない。
僕はもう、このままではいたくないんです。
(そういえば…明後日は……)
明後日は部活が休みだったことを、僕は思い出しました。
(明後日……)
僕は△△さんに気持ちを伝えようと思います。
△△さんは、僕と二人きりになるのを避けようとするかもしれませんが。
それでも…僕は……。
(君に知って欲しいんです。僕の、気持ちを……)