第2章 水色~黒子~
-黒子side-
△△さんと石嶺さんとの問題が解決した、その帰り道。
すっかり暗くなってしまった夜道を、僕は△△さんと一緒に歩いていました。
ちなみに石嶺さんについては、カントクと部長の二人が『責任を持って』送ると言っていました。
みんなに追い回されて捕まった挙句、USBを盗み出して△△さんをハメるという計画も逆手に取られ。
△△さんとはほぼ完全な絶縁に至った上(これについてはそれで良かったと思いますが)、バスケ部員(というよりは主にカントクでしたが)からは、ほとんど吊るし上げ状態にされて、石嶺さんにすれば散々な一日だったかもしれません。
(そうはいっても、自業自得だと思いますが)
それでも最後には△△さんとも向き合えて、石嶺さんも少しはほっとしているでしょうか。
でも、そんな彼女を送る役を買って出たのは、カントクと部長でした(特にカントクは非常に乗り気なのが見ていて分かりました)。
途端に石嶺さんの顔色が変わったように見えたのは、きっと僕の気のせいではないと思います。
あの二人に挟まれた石嶺さんが平穏に帰り着けるとは、とても思えません。
今頃は恐らく、きついお灸の十や二十(もちろんお説教という意味です)は、されていると思います。
それに、もしも僕がカントク達の立場でも、やっぱり何も言わずにはいられない気がします。
(やっぱり、自業自得です)
校門を出てから少しだけそんなことを考えていた僕でしたが、これ以上、石嶺さんについて考えるのはやめることにしました。
今、僕の隣には△△さんがいます。
今日は△△さんにとって大変な日になってしまいましたが、
『ありがとう、黒子くん』
そう言ってくれた△△さんの言葉が、今も僕の中に残っています。
いつもは『ごめんね』とか『迷惑をかけて』とか、そんな風に言うことの多かった△△さんが、今日は違っていて。
それが嬉しくて、心が温かくなりました。
僕はすっかり覚えた、△△さんと同じ歩調で歩きながら、そっと、その横顔を窺いました。
月明かりと街灯に照らされて、夜道でもはっきり見えるそこには、何処か疲れたような色が見えます。
(無理もないです)