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What color?~黒子のバスケ~

第2章 水色~黒子~


私はまた目の奥が熱くなったけど、今度こそ、美由と向き合わなきゃ。

私は改めて美由の前に立った…けど、今の美由はもう、床の上にへたり込んだきり、私に噛みつく力もなくしたみたいだった。

カントクは『援護射撃』なんて軽いノリで言ってたけど、これが表沙汰になれば、美由には致命的になる。

カントクにそんなつもりがなさそうなのは、私にも分かるけど、美由にとっては怖くて堪らないんだろうなって、何となく、分かる。

だからって、美由を思いやる気持ちは、もう持てない私だけど。
でもせめて、話すことはしなきゃって思った。

いつの間にか、こんなにみんなに助けてもらって、最後の最後で私が美由と向き合わないとか、そもそもありえない。
それに最初から、私は美由と話をつけるつもりだった。

例えどんな形になっても、バスケ部の迷惑にならないようにする為に。
それだけは…って、思ってた。

でも気がついたら、助けられて、守られてたのは、私の方だった。
だから…最後はちゃんと、自分で……。

「美由」
「……○○」

できれば美由と二人で話したいという私の願いを聞いて、カントクは体育館の隅で話すように勧めてくれた。

そしてカントクはというと、部長と黒子くんだけを残して、他の部員は全員帰宅させると(渋る部員も中にはいたけど、カントク&部長命令で一喝されてた)、私達とは反対側の隅に移動した。

「これだけ離れてれば、お互いの話し声は聞こえないし。でも何かあったらすぐに分かるでしょ」

そんなカントク発案の元、私は床に座り込んだ美由の前で、同じように座り込んだ。

こんな風に二人きりで面と向かって話すなんて、もう何年振りだろう。

すっかり毒気の抜けた美由と話してみて、まず最初に分かった…彼女が望んでいたのは、結局『友達』だった。

中学の『あの時』以来、私は当然美由から離れたけど、美由自身も、理由は分からないけど、他の友達と上手くやっていけなくなったらしい。

そしてこの高校を受験したのは、私が受けると知ったから…だそうだ。

美由の中で全てが狂ったのも、後悔でいっぱいになったのも、中学の『あの時』からで(少なくとも美由はそう思ってるらしい)、だからそれを正したくて、元に戻りたかったのだと、美由は私の前で泣いた。
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