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What color?~黒子のバスケ~

第2章 水色~黒子~


「ぅ~~~~~っ」

泣くのなんて嫌だったのに。
こんな風にみんなの前でなんて、絶対嫌だったのに。

辛いわけでもないの涙が溢れて、私はその場で顔を隠して蹲ってしまった。

「え、ちょっ…△△さん!」

慌ててカントクが駆け寄ってくれたけど、私は顔を上げられなくて。
そうしたら、からかうような部長の声までが、ゆっくり近づいてきた。

「あーあー、泣かしちまって。駄目じゃん、かーんーとーくー」
「な、なによ、その言い方!?」
「けど、マジ泣いちまってんじゃん…あ、じゃないすか。なー、黒子」
「はい。そうですね」
「はあぁ!?何、みんな揃って、そういう態度なワケ!?」

私を取り囲んで、みんながわいわい言い合っているのが分かる。

私はなかなか顔を上げられなかったけど、最後には何だか可笑しくなっちゃって、気がついたら肩を震わせて笑ってた。

「ぷっ、あははは、カントク、面白いです」
「ちょっと、私が面白いわけじゃ……」

いつの間にか止まった涙を拭いながら、私はすぐ傍で同じようにしゃがんでいたカントクに笑いかけた。

「ありがとうございます、カントク。私、もう大丈夫ですから」

心があったかくて、くすぐったい。

上手く表現できないけど、ぽかぽかした気持ちのまま笑う私に、カントクが一瞬きょとん、として、それから、照れるみたいに赤くなった。

「な、なら、良かったけど!」

言いながら、がば、と立ち上がったカントクは、ポケットの中からハンカチを取り出した。

今度は何だろう?と思う私の頭上で、カントクはそのハンカチを広げる。

中から現れたのは、あのUSBだった。

「これが最後の援護射撃…っていうより、そもそもこっちが本題よ。ウチの連中は全員、△△さんを信じてる。でも、これが△△さんの鞄から出てきたのは事実。だから石嶺さん、あなたにしてみれば、証拠がどうのって、まだ言いたいところかもしれないと思って。こっちも証拠をね、しっかり残させてもらったわ」
「………っ!?」

一瞬、美由が引き攣るような顔をしたけど、カントクは構わずに笑顔のまま続けた。
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