第2章 水色~黒子~
自分が毒を吐いてるって分かってる。
美由にしか使わない言い方に、バスケ部の人達もびっくりしてるんだろうなって、その場の空気で感じた。
それでも。
(もう、良い)
「用があるなら、とっとと言えば」
刺々しい言葉を連発する私の肩に、カントクがぽん、と手を置いた。
「△△さん」
「カン…トク……」
私は目を見開いて、それから、唇を噛んだ。
こんな自分…できれば見られたくなかった。
知られたくなかった。
だけど、こんな私も確かに私の一部だ。
俯く私の頭に、今度は別の手がぽん、と乗った。
(この手……)
「ダァホ、何一人で突っ張ってやがんだ」
聞こえた声に、やっぱり…って確信する。
そのまま顔を上げたら、今度は目の前にちょっと呆れ顔(?)な火神くんがいて。
「まったくだ。らしくねーことしてんじゃねーよ」
「火神くん……」
気がついたら、隣には黒子くんがいてくれた。
「黒子…くん」
「はい」
呼んだら、黒子くんは頷いて返事をしてくれて、それだけで私は何だか泣きたくなっちゃったけど、まだ何も終わってない。
私は息を吸い込んで、美由を改めて見た。
すると、美由はいきなり、にや、って嫌な笑いを浮かべた。
「本人が来たんだから、早く調べてくださいよ。それではっきりするじゃないですか」
(調べる?)
何のことか分からない私に、カントクは話すと長くなるから簡単に言うけど、と前置きしながら説明してくれた。
どうして美由は体育館裏に来なかったのか(黒子くんは来れないって言ってたけど)。
どうしてバスケ部のみんなが、ここに揃ってるのか。
そして…美由の言う『調べる』とは、どういうことなのか。
簡単に…なんて言いながら、ちゃんと私が分かるように、納得できるように、カントクは教えてくれた。