第2章 水色~黒子~
それだけが私の中を支配していて、私は黒子くんの腕を振り解こうとしたけど。
「どうして、そうなんですか」
黒子くんは私の腕を掴んだまま、下を向いた。
そうじゃなくてもここは暗くて、黒子くんの表情は見えないけど、声が…いつもより低くて。
(怒ってる?)
咄嗟にそう感じて、私はそれもそうかな、って思った。
(また迷惑かけちゃったんだもんね、私)
データ管理だけしてたはずの私がついさっき、みんなと一緒にバスケをした。
昔の嫌な思い出も吹き飛ぶくらいに、みんなとのバスケは楽しくて、嬉しかった。
大袈裟かもしれないけど、夢みたいだった。
もう、こんな風に楽しい気持ちでバスケなんてできないって思ってたから。
だけど、みんなは、それを変えてくれた。
なのに私は、その人達を巻き込もうとしてる。
迷惑をかけてる。
「ごめん。でも、ちゃんとするから」
どんな形になっても、今度こそ美由と決着をつける。
データだけは、絶対に取り返すから。
私は腕を掴んでいる黒子くんの手に、自分の手を重ねた。
本当だったら、自分から黒子くんに触れるなんて、とてもじゃないけど恥ずかしくてできなかったのに。
こんな風に、彼から離れる為に、今は…できる。
だってもう、迷惑かけたくない。
「私、行くから」
そう言って腕を引けば、そのまま離してくれると思った。
けど、実際は、
「っ!?」
その逆…だった。