第2章 水色~黒子~
-黒子side-
いつの間にか外が暗くなっていたことに気づいたカントクが、△△さんを一人で帰さない方が良いと判断するのを聞いた僕は、すぐにその役を買って出ました。
他にも同じ方角の人もいましたし、僕より△△さんと家の近い人もいましたが。
「分かったわ。じゃ、よろしくね」
カントクの鶴の一声で、この役は僕に決まりました。
△△さんがコピーしたUSBは、今日のところは無事にカントクの手にあります。
それを見つめる僕にカントクが意味ありげに頷くのが見えたので、僕も頷き返し、それから一礼して、体育館を後にしました。
データをUSBにコピーしてカントクに渡すのは、これから毎日、一週間の予定です。
それをわざと声高に告げるカントクの言葉を聞いていたのは、バスケ部員と…それから。
(ドアの影のところに、来てましたね)
今日も僕らは外周に出ましたが、△△さんは部室に行かず、体育館に残っていました。
そうなれば、昼休みのこともありましたが、『彼女』がやってくる可能性はありました。
でも、△△さんの様子を見る限り、その形跡はどうやらないようでした(△△さんは色々顔に出やすいので、平気そうにしていても大体分かります)。
今日の今日で、彼女が動くか微妙でしたが、ドアの影に潜んだ様子からして、まずは網に掛かってくれたようです。
でも、分からないこともあります。
△△さんは色々と顔に出やすいという意味では、確かに分かりやすいですが、だからといって『何があったのか』『何を考えているのか』までは、当たり前ですが分かりません。
ですが、今日の△△さんがいつもと違うのは確かです。
図書室でのことが原因かとも思いましたが、僕が△△さんに違和感を感じたのは、今朝、△△さんが教室に入ってきてすぐのことです。
そうなると昼休みとは時間が合いませんし、それに…僕の気のせいかもしれませんが、△△さんは僕を避けているような、そんな気がします。