第2章 水色~黒子~
それが何だか楽しくて、思わずいつもより長く眺めてたら、カントクが今度は私に近づいてきた。
(うわ、やばっ?)
私は休憩してただけのつもりだったんだけど。
もしかして、とばっちり?なんて思った私は、かなり早とちりだった。
「何慌ててんの?それとも、私に怒られるようなことでもした?」
「い、いいい、いえ」
「ぷっ。おもしろーい!」
「カントク……」
最近、というか、大分みんなのことも分かってきたこの頃だけど、カントクは…Sだと思う…じゃなくて、絶対Sだ。
今だって私の反応見て面白がってるし。
「まあまあ、拗ねないの」
「拗ねてるわけじゃ……」
「そう?なら良いけど。あ、そうそう。実はね、今日から一週間、入力したデータをこれにコピーしてくれる?」
そう言ってカントクが差し出したのは、USBだった。
「一週間だけ、ですか?」
「うん。とりあえずお試しでね。△△さんのお陰で大分データも整理できてきたし、家でも解析に使ってみようと思って」
だからこれはお持ち帰り用で、と言われて、私はUSBを受け取った。
「分かりました。帰りまでにコピーしておきます」
「うん、よろしくね」
それからまた入力作業に戻ると、私は部活の終了を見計らって、今日の分のデータをUSBにコピーした。
けどこれが、思った以上に時間が掛かっちゃって、
「△△さん、無理しないで帰りなさい」
カントクはそう言うけど。
データコピーにかかる時間を計算ミスしたのは私だから。
「もうちょっとでコピーできるので、そうしたら帰ります」
今日はペースを上げていつもよりたくさん入力したせいか、データが重い。
(あと、ちょっとなんだけどな)
文字だけならともかく、画像がたくさんあったりすると、転送もそれだけ遅くなる。