第2章 水色~黒子~
美由のことは、私の問題だから。
だからもし、美由とのことが原因でバスケ部に迷惑が掛かりそうなら、その時は、私はバスケ部をやめるつもりでいる。
だからって、美由の言う同好会になんて、絶対入らないけど。
私は更に黒子くんから距離を取って、椅子に座った。
「ちゃんと休憩しながらやるから、大丈夫だよ」
それなのに……。
さっきから私が『平気だよ』『大丈夫だよ』って、言ってるのに。
「僕には、そうは見えません」
「…………」
「なので、すみません」
「え?」
『すみません』て、何が?って思ってる間に、黒子くんは私に近づいてきて、少しだけ身を屈めた。
「△△さんを気にしないのは、無理です」
「……は…ぇ?」
予想外すぎる展開に、私は変な声しか出せなかった。
それなのに、黒子くんはそのまま背を向けてしまって。
「それじゃ、本当に無理はしないでください」
そう言い残して、練習に戻ってしまった。
呆然とする私の視線の先では、黒子くんが先輩に小突かれてたけど。
「ダァホ! 勝手に抜けてんな!」
「すみません」
「バレないからって、出たり消えたりすんなよ、こら」
「別に、出たり消えたりしているわけでは……」
小突かれながら言い返す黒子くん。
その背後で、フィニッシュとばかりに。
「うだうだしてねーで、とっとと練習しろやっ!」
げし!
蹴りを入れたのは先輩、じゃなくて、火神くん…だったりした。
で、そうすると、黒子くんも何だかやり返したりしていて。
何か…もう……。
(こうなると子供のケンカみたいだよね)
今日は気持ちがささくれ立ってて、どうしようもない感じだったのに。
気がつくと、いつの間にか私…顔が緩んでる。
(私…ここにいたいな……)
みんなと一緒に、いたい……。
こんな風に舞台の上の席から眺めてるんじゃなくて、もっとみんなの傍に行きたい…けど。
(こういうことしてると、そろそろ……)
べしっ!
(やっぱり……)
カントクのハリセンは…火神くんへ一直線。
「何で俺なんだよ!…ですか」
「うっさい!バカガミ!あんたまで参加する必要あったの?なかったでしょーが!」
「…………」
いつも強気な火神くんも、カントクには敵わない。
そんな火神くんへの鉄拳(?)を横目に、他のみんなも整然と練習に戻っていくのがまた面白かった。