第2章 水色~黒子~
-○○side-
放課後になって、私はいつも通り部活に出ていた。
カントクや他のみんなは無理しないようにって言ってくれたけど。
「もう全然、大丈夫ですから。それより、昨日はすみませんでした」
そうじゃなくても、私はデータ管理しかしてなくて、マネージャーの仕事なんてほとんどしてない。
朝練はもちろん、最近では昼もやってるらしい練習も、全部出席を免除されてる。
部の中で一番楽なポジションにいるくせに、それもこなせないとか、私的には何ていうか…居心地が悪いというか。
(役立たずだな…とか)
そんな風に思っちゃうわけで。
だから今日は昨日の分を取り戻すぞ、と思ってたんだけど。
「何言ってんの。誰だって体調くらい崩すんだから、そんなこと気にしないの。それより、昨日の分取り戻そうとか考えて、根詰めるんじゃないわよ」
「え…ぅ、はい」
(び、びっくりしたー!)
今、心の中読まれたかと思った。
本当、カントクって鋭いなあ。
っていうより、もしかして私の性格とかまで把握してるのかな。
なんて思ってたら、カントクがまだ目の前にいて、私のことをじーーーっと睨んでて。
「わあっ!?」
「なーに、その驚き方。失礼しちゃう。あー、分かった。さては図星だったな?」
「……い、いや、その…」
「無理は禁止!」
「ぅ……」
「まったく、無茶すりゃ良いってもんじゃないんだから!そんなんじゃバカガミと変わんないわよ?それでも良いわけ?」
「それは嫌です」
『バカガミ』に反応して、つい即答しちゃった私に。
「てめっ、即答かよ!」
練習中でもしっかり聞いてたらしい火神くんが噛み付いてきた…けど、
「うっさい!バカガミ!」
べしっ!
「いでっ!」
一撃必殺のハリセンで火神くんを撃退したカントクは、私の机に頬杖をついて、にっこり(ちょっと怖い笑顔で)笑った。
「でしょ?だったら、無理は厳禁!無理と頑張るのとは全然違うのよ」
分かったわね?としっかり釘を刺された私は、最後には、かくかく、と首をたてに振っていた。
(無理は禁止…かあ)
でもいつもよりちょっとペースを上げるくらいなら、いけそうかな。