第2章 水色~黒子~
思いがけず△△さんと同じ高校に入学して、しかも同じクラスになってから、僕は小学校の頃とは違う△△さんを、たくさん見つけました。
変わったと感じるところも、昔のままだと思えるところも、そのどちらも相俟った全部が、今の△△さんです。
僕が△△さんに初めて出会って、そして気になるようになったのは小学校の時からでしたが、今考えると自覚がなかっただけで、僕はもう、あの頃からずっと、△△さんが好きだったのかもしれません(桃井さんにもそう言いましたが)。
でも僕は、あの頃よりも、もっとずっと、今の△△さんがとても…好きです。
小学校のクラス替えで△△さんと違うクラスになってから、中学に行っても僕が△△さんと同じクラスになることはありませんでした。
そんな中学時代の僕は、ほとんどバスケ中心の毎日を送っていました。
△△さんを時々見かけたり、偶然すれ違ったりする中で、その姿を何となく目で追ってしまったり、相変わらず気になってはいても、△△さんがどんな状況下にあったかなんて、僕は何も知らなかった。
ただ時々見かけて満足するだけで、あの頃の僕は、それ以上のことを何も知ろうとはしなかったんです。
それに、もし知っていたとしても…傍にいたとしても、あの頃の僕が△△さんの為に何ができたかは分かりません。
傍にいられたら、事情を知っていたら守れたかもしれないなんて、そんな風に自分を買いかぶるつもりは、僕にはありません。
現に、中学の頃よりも△△さんの傍にいる今、彼女を守れているかといえば……。
図書室の中から響く声を聞きながら、僕は、ぎゅ、と拳を握り締めました。
時々目にしていただけの頃とは違う。
今はこんなに近くにいるのに。
近くに…いても……。
(僕は……)
彼女を守りたいと思う。
その為に、自分には何ができるだろうと、何度も考えました。
考えて、思いついたことを、行動に移したりもしました。
でも今、△△さんは図書室の中で石嶺さんと対峙しています。
できるなら、こんな風にならないようにと思っていました。