第2章 千キロ先に向けて出発
だいぶ走り進んだが、まだまだ果てしない。
千キロ離れた場所につく間、どうやって潜入しようか、名前はどうしようかなー、記憶喪失…無いわなー。身代わりに誰か殺してその人に変装するのがベストやなーー、と頭でグルグル巡らせていた。
一日中走ってもまだまだ着かない。
千キロの遠さに今更ながら痛感している。
「十五日から二十日前後はかかるね…どっか寄って食料を確保して進まないとダメかー…馬車とかタイミングよく走れば楽だよね。」
「おー、そうだな。」
ゼロの言葉にブハッ!っと笑ってしまった。ゼロは理解不能な顔をしている。
「だって、言葉が少なくなってるよ?喋らないの?方言が出そうなの?」
ニヤニヤ見下したように笑えば、ゼロは不貞腐れた顔をするから、さらに私は面白くなる。
「うるせー!何ではそんな簡単にペラペラ喋れるんだよ。」
「才色兼備、容姿端麗、完璧、格別、全て私に当てはまるパーフェクトな忍なのよ、私は。」
「自分で言うな、だがしかーし、お前は中身が残念なんだよ、優しさが足りない?なんか、足りないよな。」
「私に足りないものなんて、
なーーーんもないのよ!!」
一気に脚に力を加え、何メートルものある崖を軽々と飛び越えた。