第14章 危機
「アイツを追いかけるぞ!」
騒がしく猛獣達が叫び出すが、私はそれを必死に止めた。
「待って!!ちゃんと、話をするから、聞いて!!」
両手を横に広げ縋るようにカカシを見つめた。カカシは辛そうな難しい顔をしている。
「何かトラブルか?」
諦めたように呟き、聞いてくれたカカシに安堵して、私は話をし始めた。
「さっきの紙鳥は、私の里の、総長の術で、里からたくさん距離が離れていても、一瞬で情報が届くの。里が襲撃されて、私の……ばあちゃんが死んだのよ。だから今すぐ帰るわ。」
「またすぐに戻って来るんだな?」
「もちろんよ、カカシ、安心して。」
「わかった。ちょっと待ってろ。」
八頭は納得出来ずに吠え叫んでいるが、無視して歩いていく。
カカシは棚からお金を取り出し、私の鞄に入れて渡してくれた。鞄はいつでも帰れるように常に準備していた。
さらに靴も持って来てくれ、それを履いた。
「またな、」
「…カカシありがとう。じゃあ…」
そう言ってカカシに後ろを見せて行こうとすれば、低い声が聞こえた。
「そんなすぐに帰って来れる距離じゃないんだろ?このまま、本当に別れるつもりか?おまえ出来てたらどうするの?」
「出来てないよ、今日来たから。大丈夫。」
「っ!!……はぁぁー…本当、それはそれは良かったね。」
「私はカカシが好きよ?必ず帰って来るわ。」
「……ヒントを言え、おまえは絶対帰って来ない。、オレを愛してるだろ?最後ぐらい、教えろよ?な?」
その言葉に言葉が詰まり涙が溢れ落ちる……、
「あ…い……、してるわ。
カカシを。ヒントね………彩りの谷。」
彩りの谷で、私の従兄弟が崖から落ちた場所だった。その事故は、実は八年以上前でずっと延命治療をしていた。