第12章 夜這い
「…っ?!!」
その言葉を即座に反応して身体を退かせようとするが、この体勢では、ビクともしない。男の前では女はか弱過ぎる。カカシが酒に酔っていても関係ない。
「何、冗談言ってるわけ?」
「ん?本気だって。」
「本当に出来たらどうするのよ。」
「出来て欲しいから今からやるんだよ。」
敵うわけがない。ギチギチと手や足を動かして身体を跳ね退けようとしても全く動かない。
カカシの瞳は真剣で一切偽りがない。本気だと確信して、私は全力を身体に注ぐが、やはり…無理であった。
「や、やだ、放して……」
「ヤーダ、無理。」
事の重大さに徐々に呼吸が荒々しくなっていくが、カカシは想定内なのだろう。
息荒く私を見つめ、口角を上げ笑っている。
「がさー、いきなり帰るとか言うし、帰るとき全然こっち見てくれないし、泣きそうだったよ。こんなにオレはお前に夢中なのにね……お前は違うの??」
「…あの時は…その…」
「ま、あんな風に注目されたら難しいよね。ふふ、なぁ、…赤ちゃん出来たら一緒に育てような。」
そのキーワードに、目をまん丸に開けて真っ青に変わる私に、カカシは強い目線を私に向け、更に畳み掛けるように流暢に喋り続けた。
「絶対帰さない、どこにも行かせない。お前はオレと結婚するんだ、そうすれば出て行かなくて済むだろ?」
「そんな早急な……え?結婚?」
これほど重い言葉を聞いた事が余り無い。暗殺者と結婚をするバカはどこにもいない。
「オレをやるなら、今だよ。ホラやってみろよ。」
「カカシ……!!!」
その言葉を聞いて、納得してしまう。
全部わかって言われていた事に気づき、カッと赤くなる。