第11章 夜
宿に到着して右肩のパックンが帰るのを待つが、一向に帰らない。
何故降りないのか疑問に思い、パックンを見つめれば、忍犬は私を見て当たり前のように話をし始めた。
「ワシはの監視役だからな。最後まで見届けるのが使命だ。一緒にこのまま一夜共にする。」
「あ、そう…ですか。ふふ…それはそれは……どうも御足労かけます。」
つい、口元がニヤついて笑ってしまう。
忍犬が横にいて、ただ監視するだけ、だけどそばに居てくれる、そう思えば嬉しく感じた。
部屋に入って、私は荷物を片付け始める。
荷物なんて大して無くて、一瞬で終わってしまい、私はペラペラな人間のように感じていた。
もう意味がない。
帰ろう。
そう頭で呟き全てを諦めていた。