第10章 風
あと少しでアカデミーを抜ける時に、パックンの口から重い溜息が漏れる。
「カカシは本当に、非情になれない男だな。感情に左右されて・・・お前がよっぽど、好きなのかもな。」
右肩に乗るパックンが後ろを向きながら
突然、意味不明な言葉を喋り出した。
それは絶対、あり得ない。
バカバカしい。思わず笑ってしまうぐらい、滑稽に思えた。
「そう?私には理解出来ないし、分からないな、全然。」
「今、カカシがサクラを必死に止めているぞ。」
「明日には出て行くから、ほっとけって言ってるんじゃない?」
「は、決して間違った行動はしていない。ただ身元があまりに不明過ぎるだけだ。」
「アハハハ・・・確かにそうかも。まぁ明日には、私はいません。だから、その辺で許してください。」
パックンの言葉を素直に認め、許しを請い、空笑いをしながら玄関の門を通り抜け、外に出た。