第10章 風
ふと、異変に一番早く気付いたのは、
多分私だけだった。
何か胸騒ぎして、異変を感じたものに気をつけていれば、すぐに正体が判明する。
行く時に気になったいた、風の強さだった。
ビュウ…ビュウゥゥーーーー…
「これ、危ない……!」
先ほどからさらに風が強くなる。
ゴォオォォォォーーーーーーーー!
「突風が!…ヤバい、絶対危ない!!」
「この風はいかん!竜巻だ!」
(息が出来ない!)
「…ッ!!!!」
ミシミシ……ミシミシッ…!!とやぐらの亀裂音が響く。
(危ない、あそこは子供達が!!)
ゴォオォォォォーーーーーーーー!!
それに気をとられ、皆が騒ぎ出す。
「っ!!!」
次の瞬間横からの異物に私が真っ先に気づく。
(危ない!!!)
ゴォオォォォォーーーーーーーー!!!
ビュウゥゥゥゥーーーー!!
突然、屋根が豪速球のように、こちらに突っ込んでくる。吹き飛びこっちに向かう屋根に皆気がつかない!!
音が止まるように
瞬きを一回するように
ほんの一瞬の出来事だった。