第2章 千キロ先に向けて出発
次の早朝から、千キロ離れた場所に向かうが、最初の二十キロでゴクゴクお茶を飲みながら一気に後悔する。
「あっーついねん!!あり得へん、最高気温は何度や、今日は。あーー面倒や!遠いなーー、あのオッさん死んでえーわ、キモいねん、苛々する。」
ギラギラ灼熱の太陽の下、ダラダラ汗を流しながら手で拭い、よし!と気合を、入れて走り出す。
汚い言葉と文句を並べながらも、身体は確実に前に前にとスピードを上げて飛び越えて行く。自分の実力の高さを自分ながらに飽き飽きしながら進んでいく。
ふと、ある人物の気配に気づき、巨大な木の枝で少しそいつが来るのを待ってやった。
「早いって!どんだけ飛ばすんだよ、アホちゃうか。MAXやんけ。」
はぁ…はぁ…と声を切らした男が、何故か私を追いかけてきたことに疑問を抱いている。
「ゼロ、あんたなんで此処におるんや、来たらあかんやろ、総長は私一人で犯れって言ったんやで?」
ゼロという男は私の同期で同じ忍び仲間だ。身長が高く、髪は明るく柔らかな茶髪で、少し目に掛かるぐらいの長さだ。清潔感溢れ爽やかな笑顔を私に向けているが、私は一切靡(なび)かない。冷めきった目でみている。
「なんか、やっぱりだけじゃ心配やわーって唐突に言われて、偶々(たまたま)側におった俺が後追え言われたんや。だからよろしく。」
その言葉にマグマが噴火するようにブチ切れた。