第9章 アカデミー夏祭り
暇だしやる事も分からないし、私は、仕方なしに、テントの中に設置された椅子に座った。目の前にある真っ白なうちわに、とりあえずウサギの絵を可愛く描いた。
昔から絵を描くのが好きだった私はドンドン乗ってきて思い思いに彩りよく作品を仕上げていく。
大好きなヒマワリや薔薇の花、本格描写も描いてみたら、意外と面白い。
すると段々私の周りに一人二人と徐々にギャラリーが増えていき要望を言い始めた。
「お姉さん、上手!次これを描いてー!」
子供達に言われるがままに、猫やら犬やらキャラクターやらひたすらペンを滑らせ描いていけば、周りの皆の目がキラキラ輝きを放ちワイワイ盛り上がっていく。
「次、この犬描いてよ!」
指を指されたのは右肩に乗るパックン。
「ワシ?拙者か?」
戸惑うモデルをひょいと持ち上げ、椅子に座っていただき、じっくり見つめて描いてみれば、まあまあの出来栄えだ。
「パックン、ほら、どう?ソックリにかけてるでしょ?色も塗ればさらに似てるわ!バッチリよ!」
新作を見せれば、本人?本犬?は、微妙な顔さている。
「違う、もっと男前だ!」
「えー?そうかなー似てるよー。」
クスクス…アハハーと笑いながら色を塗れば、皆、一瞬こちらを見て固まっていた。